口は禍の元、筆は妄言の元

 「口は禍の元」なんて言葉を、最近は(不幸にも)実感することが多くなっている。
 意外に思われるかもしれないが、ぼくは割と話したいことを多く抱えていて、ついつい調子に乗って余計なことまでついでに吹聴してしまうことも少なくない。とりわけ、悪口は最良の潤滑油であるし、喋った分だけそれなりに災いを呼ぶ。

 そんな失敗をしないためには黙っている他はない。大学入りたての頃に友人に言われた「お前はしゃべらない方が周囲のウケがいいよ」なんて言葉を、今更ながらに記憶の納屋から取り出してみて、そこに冠ったほこりが宙に舞うのに顔を歪めては、「もっと早く口を閉じておけばよかった」との念を禁じ得ない。

 失言しないためには喋らない。だが話したいことはいくらかあるし、それは口角の泡のごとく溜まっていくのが不快な類のものだ(しゃべってないのに溜まる逆接!)。ならば、書き言葉として、冷静に、時間をかけて、失言とならないような読み物を書こうと思った。木に穴をあけてそこに話したいことを吹き込み、土で蓋をする、といった高尚かつ尊厳に関わる内容でないことを「妄言」と称して。


 とかいいつつ、ふつうのブログのように、日記や(研究)メモ、エッセイ、文体練習などを載せていく予定です。備忘録のために日常を淡々と書いたり、愚痴ったり。時には何かを「言祝い」だりするかもしれません。文字通りご笑覧頂ければ幸いです。そんなにウケは狙いませんけど(そういえば過去に「受け受けしい顔してるな」とは言われたことがあります)。
頻繁には更新しません(断言!)。

 ブログ名は村上春樹の『羊をめぐる冒険』から拝借。
 村上春樹が1番好きな作家であるというわけではないけれども、春樹作品の中では1番好きなので(でももう何年も読み直してません)。 
 「羊」と「つじじ」の発音は厳密には違うので、注意が必要です(?)。このあだ名も高2のときにバイト先の先輩に呼ばれたのがきっかけなので、もう5年モノ!「つ」と「し」の同形さがより一目瞭然なので、気に入ってます。

 この名前を使うのが恥ずかしくなるまではこのブログも続くといいなあ。